第8回:大切な家族に捧げる「僕のW杯優勝に対する気持ちが通じた」
フランチェスコ・トッティは、ようやく主役の座を射止めた。「やっと、僕を名指しで意地悪な事を書いていた、多くの批評家を黙らせることができた!! オーストリア戦の終了間際にPKであげたゴールで、僕にのしかかっていた、大きな重荷がぬぐい去れたよ。
2002年日韓大会の韓国戦で、モレーノ主審がレッドカードを僕に出してからの4年間、この時を待ちわびていたんだ。このゴールは、僕にとってW杯初ゴールだし、ベスト8のウクライナ戦に進むために、決定的なものだった。このゴールで信頼を回復できたと思う。大会当初から調子は良かったけど、試合を決めるゴールというものは、サッカー選手だけが理解できる、精神的な落ち着きを与えてくれる。 PKの場面、監督もチームメートもクッキアイオ(※イタリア語でスプーンの意。トッティのループシュートやチップキックの代名詞になっている)をやるんじゃないかって心配してみたいだけど、あの場面では熱気が過剰すぎた。ブッフォンは、『見てられなくて背を向けてた』って言っていたよ(笑)。 PKを蹴る直前には、ピルロが『頑張れ!! 』って声をかけてくれたことも、はっきり聞こえたし、気持ちは落ち着いていた。だから絶対に得点できるって自身はあった。 試合には、妻のイラリーと息子のクリスティアンが観戦していたんだ。指を口に入れる“おしゃぶりポーズ”をして、あのゴールを息子に捧げたんだよ。クリスティアンは、僕の人生を変えてくれた存在だからね。もちろん、サッカーは僕にとって大事なものではあるけど、サッカーよりも家族の存在がもっと大事なものであると、息子は教えてくれた。家族のお陰で、僕はあの酷いケガから復帰することができた。僕の周囲では、今の自分に懐疑心を抱いていた人が多かったと思う。 でも、リッピ監督は違った。僕をずっと信頼してきてくれたし、オーストラリア戦で僕をベンチスタートにさせる時も、リッピ監督は試合の当日、僕を個人的に呼び出して、正しい言葉と口調でベンチスタートのことを伝えてきた。僕はその理由に納得していたし、ベンチスタートに怒っていなかった。 ベンチに座って、僕の出番がきたときに何をすべきか、ということだけに集中して、頭の中は整理されていた。だから苦しい時間帯で、あのような素晴らしい瞬間が訪れたのは、僕のW杯優勝に対する気持ちが通じたのかもしれない」
独占連載「野望を胸に」
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