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「生半可に撮らせてくれっていうのは、相手に対しても失礼」
写真は格闘家・弘中邦佳。その肉体美は芸術
(C)若林広称(スウィープ☆) /(C)集英社 ヤングジャンプ
――ネットですと、情報の量だったり、動画もバンバン流れています。要は既成事実を確認するっていう作業が簡単にできる中で、逆にこうした一枚の写真から伝わってくるものがとても大きく感じることもあります。

「自分で興味あるものを見定めて、この人いいな、カッコいいなって思ったら、その人に密着する。例えば、この写真(左上に掲載)にしても、格闘技っていうカテゴリではなく、あくまでも弘中(邦佳/UFC他、世界の格闘シーンで活躍)っていう選手、人間を撮っているんですね」


――被写体になるアスリートに関して、撮ってみたい方、いざ撮ってみたら、物足りなく感じた方、色々いらっしゃったと思います。

「撮りたいと思えば、こちらからアプローチはしますが、被写体からも撮ってもらいたい瞬間や、撮られたい空間ってあると思うんですよ。でも、その時に全エネルギーをその被写体に向けて僕がレスポンスよく動ければ・・・。だから、生半可に撮らせてくれっていうのは、相手に対しても失礼だと思うし、慎重にもなるんですよね」


――まだ、好きなものだけを追い求める訳にはいかない?

「そうなんですね。道のりがありますね。今は自分を鍛える時期かもしれないです。そう簡単にチャンピオンにはなれないし、そう簡単にやりたいことだけやることはできないですからね」


――さて、これまで撮ってきて強く印象に残ったアスリートっていますか?

「弘中選手は残っていますね。UFC出場が決まったから、僕の立場で彼を激励したいというのがあって、旬な格闘家として、ヤングジャンプの編集者に紹介し、ページとして取り上げて頂きました。この時は、カメラマンとして、自分で撮影した写真をもって、弘中選手にエールを送れたという事が嬉しかったですよね。

ただ、1枚1枚の写真なんですけど、その時撮影した感覚は不思議な程ほぼ覚えています。その分、私生活では忘れることも多いんですけど(笑)

 どういう気持ちでシャッターを切ったとか、どう緊張したとか、撮影がどう盛り上がったかなど、前後の空間を含めて集中している分、記憶として脳みそに飛び込んでくるんでしょうね」


――若林さんにとって、成功、失敗というのはどのような時ですか?

「細かいところでの成功、失敗は色々ありますけど、全ては自分自身の問題なんですよね。難しいですけどね。考え方です。どれだけ健全に自信をもって貫き通せるのか、これが出来なかった時が失敗になるのかなぁ。

 撮影では、準備、データ収集が重要なんですよね。ファイターでいうなら、対戦相手。例えば、次の撮影では、井上真央さんを撮るんですけど、サイドから光を入れた時に、じゃあ、井上真央さんはどっちに髪の分け目を作っているのか。光の焚き方一つでも間違えば、顔の反対が影になってしまう。そういう細かいところは全部調べて、現場行ったら、スタッフに指示してとか、心構えや準備。その全てが勝負ですから。どの仕事もそうですよね」

photographer 若林広称(わかばやしひろや)
1973年静岡県生まれ。尾形正茂氏に師事した後、集英社ヤングジャンプのスタッフカメラマンを経て、現在はクリエイターチーム『スウィープ☆』を起ち上げ、ミュージシャン、映画俳優、タレント、スポーツ選手のポートレイト写真を中心にCM、雑誌などで活躍中。
愛機カメラ:CANON 5D/8X10(エイトバイテン)

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